頭頸部外科

頸部腫瘤

 臨床的にしばしば遭遇する病態である。背景は、新生物(良性・悪性腫瘍)、炎症性変化、非炎症性腫大、先天性奇形、等、多岐にわたる。

1)新生物の場合

i)悪性の場合

  1.  これは大きく、二通りに分けられる。頭頸部領域に原発を有する悪性腫瘍に頸部リンパ節転移が発症した場合と、頭頸部以外に原発部位を有し、頸部領域に遠隔転移として、発症した場合である。例えば肺癌や胃癌、或いは大腸癌の鎖骨上リンパ節転移などである。
  2.  しばしば臨床で苦労するのは、頸部に発症したリンパ節転移の原発部位がわからない場合である。特に扁平上皮癌野庭は、頭頸部に後発するため、頭頸部領域のどこかしらに原発部位が存在することを前提に精査をするのであるが、PET,CT, MRI, 腫瘍シンチ等の検査を試行しても原発部位が判明しないことがある。原発の大きさが2~3ミリ程度で頚部リンパ節転移が数センチ以上に及ぶ場合も少なくない。尽きるところ、原発が小さいために判明できないのか、粘膜に隠れて同定できないかのどちらかで有ろうと推察されるのです。一定期間観察を継続しても原発が判明しない場合は原発不明頸部癌として統計上処理されるが、すっきりしない病名である。潜在性原発部位として、扁桃、上咽頭、下咽頭など疑われ、精査を行うことが多く、無作為の生検摘出により原発部位であることが判明することもある。
  3.  頭頸部癌の治療では、頸部にリンパ節転移部位を認める場合には、原発部位と加療と同時に頚部リンパ節転移の加療もほぼ同時に行うのであるが、原発が判明しない場合には、頚部リンパ節転移の加療を優先せざるを得ないことになる。臨床的の経験では、原発部位が遅れて認められる疾患ほど、生物学的膨張率が低く、生存期間が長い場合が多い。
  4.  内頸静脈に沿って発症した単発性の扁平上皮癌組織を有する頚部腫瘤は、原発の判明がつかないときは、先天異常である側頸嚢胞が癌化したものとして、対処する場合がある。
  5.  加療の原則は、まず、頸部腫瘤の病理情報(細胞診、或いは生検)を調べ、扁平上皮癌であれば、頸部郭清術を原則とする。その場合に、放射線や抗癌剤を併用して行うこともある。

ii)良性の場合

  1. 側頸囊胞、正中頚囊胞、脂肪腫、血管腫、筋腫、骨腫、食道憩室、等、多数認められる。確定診断は生検で確定する。顎下部や耳下部では唾液腺腫瘍の発症が認められる場合も多い。

2)炎症変化の場合

 この場合も背景は多紀に及ぶ。近年しばしば遭遇するのは、一般的には撲滅したと考えられている結核菌によるリンパ節腫大である。熱発を伴うことが多い。その他、炎症性リンパ節炎、サルコイドーシス、頸部蜂窩織炎、壊疽、等が発症し、確定診断は生検で行う。

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