頭頸部外科

鼻のがん

1)解剖学的部位
 鼻腔、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞、上顎洞を総称して鼻と称する。鼻腔内の外側にはには上・中・下の3種類の鼻甲介が存在し、内側には鼻中隔が存在する。大多数の粘膜は多列もしくは立法繊毛上皮から成り立っているが、下鼻甲介の前方部や鼻前庭では扁平上皮から成り立ている。顔面のほぼ中心部分に前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞が存在し、外側の頬部に上顎洞が存在する。
2)疫学
 上顎洞癌は、鼻に発生する悪性腫瘍のうち一番頻度が高く、上顎洞癌の発生には慢性副鼻腔炎のとの間に相関があると考えられていたが現在は否定的である。近年は減少傾向にあるが、日本人に多く、臨床的にしばしば遭遇する疾患の一つである。進行すると眼球突出が生じ、四谷怪談の“お岩さん”は上顎洞癌と言われている。
3)症状
 鼻は空洞を有する部位のため、空洞内に腫瘍芽留まっている場合には症状の発現が少ない。鼻腔や自然孔に発生すると鼻出血や鼻閉等が生じ、比較的早期に腫瘍の存在に気がつくことがある。また、歯根部近傍に腫瘍が発生する場合には、歯痛の精査で腫瘍が確認される場合もある。進行し、腫瘍が空洞を形成している上顎骨を破壊すると隆起性病変として診断がより容易になる。例えば硬口蓋の隆起や顔面頬部の腫脹である。臨床的にはこの状態になってから専門病院を受診する場合が圧倒的に多いのが現状である。
 上顎洞癌は、腫瘍の発育する方向により、臨床症状が異なる特徴がある、上方に発育すると眼球突出が認められる。下方では歯痛や硬口蓋の隆起であり、後方に発育すると開口障害が生じる。
 鼻の癌では、原発部位の違いにより、頚部リンパ節転移の発症頻度が異なると考えられている。上顎洞癌では、頸部リンパ節転移が発症しにくく、生じたとしても顎下三角部に留まって場合が多い。病理組織像は、多く分化型扁平上皮癌である。一方篩骨洞や蝶形骨洞に発症した場合には内頚静脈に沿って、頸部全域に頚部リンパ節転移が発症する場合が多い。病理組織像も、低分化方扁平上皮癌や未分化癌も多い。篩骨洞がんや蝶形骨洞がんは、遠隔転移も多く、上顎洞癌に比べて予後不良と考えられている。
4)診断
 生検による組織検査と、CTによる腫瘍の存在部位で病期が決まる。
5)治療
 治療の原則は、放射線治療、化学療法、手術の3者併用療法を原始口する。特に超選択的動注による抗癌剤の散布と放射線療法の併用は、基本的治療法となっている。放射線と抗癌剤の治療終了後仕上げの手術が行われる場合が多い。

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