頭頸部外科
喉頭がん
- 1)解剖学的部位
- いわゆる“のどぼとけ”に相当する部位である。喉頭は医学的には3領域(声門上、声門、声門下)に分けられる。声帯が存在する部位は声門であり、音声と直結する。喉頭はまた、気管や肺に繋が部位でもあり、中咽頭からの食塊の流入にさいし、防御作用を追うするため、他領域よりも知覚が過敏であり、反射が強い部位である。
- 2)疫学
- 喫煙と喉頭癌との関係は知られているが、飲酒とも関係が深い。3分類のうち嗄声と関係が深いのは、声門にある声帯に病変が生じた場合である。喉頭に発生する悪性腫瘍は、声門>製網上>声門下の順位多く、近年は喉頭癌の約7割が声門癌といわれている。声門下癌が一番少なく数%以下である。喉頭がんは嗄声だけが症状ではなく、部位により発症症状が異なることを銘記すべきである。
- 3)症状
- 声門癌では、嗄声が癌の発症の早期から生じるため、早期発見が可能である。2週間以上嗄声が改善しない場合には、耳鼻咽喉科を受診することを勧める。声門上がんは症状の発現が遅く、咽喉頭の異常感や嚥下痛、血痰、あるいは頚部リンパ節転移による頸部腫瘤で発見される場合が多い。声門下がんはほとんど無症状で、進行すると呼吸苦や嗄声で見つかることが多い。声門上がんは、リンパ節転移が多く、発症部位によっては下咽頭がんとの境界型を示し、下咽頭がんにすべきか、喉頭癌にすべきか判断に迷う場合もある。
- 4)診断
- ファイバースコープによる腫瘍の存在と病理組織検査で確定診に至る。甲状軟骨への破壊の有無等により病期評価に対してはCTがよくわかる。
- 5)治療
- 病期Ⅰ、病期Ⅱ以下に対しては原則として、放射線治療や部分切除、あるいはレーザー蒸散術や放射線との組み合わせが行われる。Ⅲ期以上では、手術もしくは放射線加療が選択されるが、発症部位や症状によりその対応が様々である。前方部分の喉頭軟骨や輪状軟骨に浸潤し潰瘍を形成するタイプでは放射線治療が奏功しにくく手術が選択される場合が多い。症例によっては、進行がんでも喉頭の部分切除の適応もあるが、肺活量や年齢、発症部位など、選択を慎重にする必要がある。
手術で喉頭が摘出されると、失声し、永久気管孔が形成されるため、手術前に患者は病状を十分に把握する必要がある。失声が生じた場合でも、練習により食道発声や電気喉頭(エレクトロラリンクス)で会話を行うことが可能になる場合が多い。ちなみに喉頭が摘出されると第3級の障害者に該当する。