頭頸部外科

聴器がん

1)はじめに
 聴器は、外耳(耳介、外耳道)、中耳、内耳で構成されています。聴器癌は、主に外耳、中耳より発生し、大部分は、扁平上彼癌からなるが、耳垢腺より発生する腺癌などもみられ、耳介では悪性黒色腫なども認められます。原発部位により、耳介癌、外耳道癌、中耳癌にわけられ、頻度的には耳介癌、外耳道癌、中耳癌の順であります。耳介癌は、外表に露出しているため、皮膚癌として取り扱われます。
 聴器癌全体としても、発生頻度が少なく、一施設での集積症例数が少なく、治療のコンセンサスが確立されていないのが現状であります。
2)疫学
 頭頚部悪性腫瘍の、0.5%から1.5%程度である。50から60歳に多く、男性に多く、女性の2倍程度であります。
3)誘因
 耳介癌では、粉瘤、湿疹、火傷、凍傷、ケロイド、角化症などから悪性化するものが、報告されています。外耳、中耳癌の原因としては、長期にわたる耳漏が考えられています。
事実、中耳悪性腫瘍の患者の75%以上に、中耳炎の既往があります。
4)症状

耳介癌

直接目に見えるところであり、腫瘍そのものを主訴として受診されることが多いようです。

外耳癌

早期から耳痛を伴うことが多く、耳漏、痒痒感が長期にわたっている事などもあります。腫瘍が増大すれば、外耳道の閉塞による耳閉感、中耳機能の破壊による難聴、耳出血を生じる。外耳道前壁から、顎関節包に浸潤すると開口障害を、耳下腺への浸潤により、顔面神経麻痺を生じます。

中耳癌

深部外耳癌 初期には中耳炎による症状に似ています。中耳炎に比べ出血しやすいのが特徴です。前方進展により顔面神経麻痺や開口障害を生じます。まれではあるが、内耳へ進展することにより、眩暈、混合難聴、耳鳴りなどを呈し、さらに高度進展例では、他の脳神経症状を生じます。
5)治療
 他の頭頚部癌治療と同様に、手術 放射線 化学療法を併用した集学的療法が行われています。

放射線療法

耳介や外耳道入口部の腫瘍で、早期発見されているケースでは、外科的切除でも放射線でも治癒する可能性が高いです。外耳道深部から中耳の腫瘍では、骨に囲まれているという解剖学的条件から放射線単独による治療は困難なことが多いです。基本的には、術前術後の補助的な役割となります。

手術

耳介および外耳道入口部の関しては 安全域をとり、局所的に切除可能なことが多いですが、広範囲の欠損をきたした場合、有茎皮弁や遊離皮弁による再建を必要とすることもあります。骨に浸潤したような癌の場合には、耳下腺、顎関節など周囲組織を切除しなければならないこともあります。外耳道全摘術では、 腫瘍が外耳道に限局し、中耳に進展していない例において適応となります。前壁に浸潤するような症例では、耳下腺下顎関節突起(場合により顔面神経)を合併切除します。耳介入口部を大きく切除した症例などでは、腹直筋皮弁などの皮弁を用いて再建が必要となることがあります。
さらに広範囲に腫瘍が進展しているケースでは、拡大中耳根治術 側頭骨亜全摘出術など志向されるケースもあります。
6)予後
 症例数が少ないため、報告にはばらつきが大きいのが、現況です。一般的に耳介癌 外耳道入口部癌は限局している限り、皮膚癌に準じてその予後は良いです。中耳癌については、予後は不良なことが多いです。

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