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TAVI

たび

TAVIとは?

TAVI(タビ)とはTranscatheter Aortic Valve Implantation の略語で、「経カテーテル的大動脈弁植え込み術」といいます。Transcatheter Aortic Valve Replacement (TAVR)といわれることもあります。フランスで開発され2002年に初めて臨床応用に成功して以降(アラン・クリビエ医師)、海外では2014年8月までに、10万例以上の患者に行われてきている画期的な治療法です。基本的には胸を開けることなく心臓を止めずに、カテーテルによる治療のため、患者への負担を従来の手術に比べ大幅に軽減します。その結果、これまで手術が困難であった患者に対しても、治療が可能となりました。大動脈弁狭窄症の治療の原則は、現在も外科的大動脈弁置換術が第一選択ですが、それが難しいと患者にも、治療の可能性がでてきました。


TAVI
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TAVIの手術

主に2つのアプローチ方法があります。太ももの付根の大腿動脈という血管からアプローチする方法が主流です。それが難しい場合でも、左胸部を小切開して心尖部からアプローチすることができます。

■創部の比較(左:外科的開胸術後、右:TAVI後)

(提供:エドワーズ・ライフサイエンス社)

対象疾患

大動脈弁狭窄症が対象となります。動脈硬化などが原因の重度の大動脈弁狭窄症で、息切れ、胸痛や失神、めまい等の症状のある場合が適応となります。かつ、従来の外科的手術が困難、または非常に危険であると判断された場合に、TAVIが考慮されます。当院ではTAVI(タビ)のための特別な専門チームを編成し、各症例に対するTAVI治療の可否について入念に話し合いを行った上で判断します。一般的には下記がTAVIの適応です。

  • ご高齢の方(概ね85歳以上)
  • 過去に開胸術や胸部への放射線治療歴などの既往のある方
  • 肺気腫、COPDなどの呼吸器疾患をおもちの方
  • 肝硬変などの肝疾患をおもちの方
  • 縦隔炎の既往のある方

など

また、以下に示すような方は現時点ではTAVIが受けられません。

  • 従来の外科的大動脈弁置換術が可能と判断された方
  • 透析中の方
  • 重度の心不全の状態にある方
  • 高度な逆流弁膜症をともなう方
  • 大動脈弁がエコーにて単尖弁もしくはニ尖弁と確認されている方
  • 末期の悪性疾患がある方

など

まずは当院にて精密検査のため入院して頂きます。その上で、個々の患者さまにおける最も適切な治療法について、ハートチームで丁寧に話し合い、その後、ご本人、ご家族に十分な説明します。


当院の体制

TAVI

ハートチーム

TAVIによる治療は、循環器内科医(心臓カテーテル治療の専門家)、心臓血管外科医、麻酔科医にくわえ、心臓超音波やCTなど画像診断の専門家、リハビリ専門家、看護師、医療事務職員など、多方面にわたる専門家たちが集まり、個々の患者への治療にチームとして取り組むことによって、はじめて実現されます。このような診療チームによって、患者一人一人の病態の把握は勿論のこと、全身状態や生活環境などの背景から将来性までを丁寧に患者と議論し、個別の状況を把握した上で最も適切と思われる治療方針を決める、患者中心の医療が実践されます。また、このような診療の実践により、心臓医療分野においてチーム医療の重要性が改めて再認識されてきています。

TAVI

ハイブリッド手術室

ハイブリッド治療室とは、心脳血管X線撮影装置による血管内カテーテル治療や従来の手術台による外科的開心術、CT検査などを全てその場で行える機能を備えた高次能の治療室です。手術室と同等の空気清浄度の環境下にて、TAVIを初めとする様々な最新鋭の治療が可能となります。当院では2014年6月、最新式のシステムを搭載したハイブリッド治療室を稼動いたしました。


TAVIの利点

1. 大きな切開が不要

太ももの付根(そけい部)あるいは左胸部に、それぞれ1センチないしは数センチの皮膚切開をして行いますので、これまでのように胸を大きく切ることはありません。

2. 心臓の停止、体外循環装置は不要

心臓はいつものように動いたままの状態で生体弁を移植できます。生体弁は、移植されると同時に速やかに新しい弁として機能し始めます。この過程において、本来の心停止や人工心肺のようなおおがかりな装置は一切不要です。

3. 施術時間が短い

従来の外科的開胸手術だと半日ほどかかりますが、TAVIでは大幅な時間の短縮ができ、患者さまへの負担も大幅に軽減します。

4. 術後の回復が早い

術後の集中治療室での滞在期間は1日程度です。リハビリも術後速やかに開始して早期に退院できます。

TAVIの問題点

1. 生体弁の耐久性

外科的生体弁は50年以上の歴史があり、その耐久性に関しては15〜20年もの長期間、術後も生体内で問題なく機能することが実証されています。一方でTAVIはまだ最新鋭の治療法でその歴史が浅い上、TAVIをお受けになる方の年齢は80〜100歳とご高齢のため、現時点で報告されているTAVI術後の生存期間は最長で6.5年ですが、生体弁そのものは良好な機能を維持されていたことが証明されています。つまり、術後の実際の耐久性の評価は、まだこれからの段階にあります。

2. 合併症

様々な特殊合併症:操作の概ねが大動脈という太い血管の内部において行われますので、可能性としては動脈損傷、出血、脳梗塞などが起こりえます。また、生体弁留置によって心臓の刺激伝導系といわれる部分が影響を受け、恒久的ペースメーカーを埋込む必要となることも少なくありません。その他にも、傍弁逆流や冠動脈閉塞などの様々な事象に対し、こうした特殊合併症の予防のために、術前に極めて慎重な精密検査を行うことが義務付けられております。
術後死亡率:2014年6月現在において、国内では既に400例以上の方々に対しTAVIが行われております。その中での術後30日以内の死亡率は1%未満とは報告されていますが、この正確な評価にはまだ時間がかかるのが現状です。


安全な施行

私たちはTAVIを安全に施行するために以下を大切にしています。

1. 術前の精密検査(高精度造影CT検査、冠動脈造影検査、呼吸機能検査など)

2. 適応に関しての十分な検討(ハートチームによる評価)

3. 適切な術式の検討

4. ハイブリッド治療室の整備

バルーン大動脈弁拡張術:BAV

TAVI
重症大動脈弁狭窄症に対する治療の最終手段は外科的に開胸し、一度心臓を止めて行われる大動脈弁置換術ですが、高齢や余病が理由で、手術が難しい患者に対し、バルーンによる弁形成術(BAV)が30年程前から行われてきました。この方法は一時的な効果しか得られないという事が判明して以降、敬遠されがちな治療法となっていました。 しかし近年、TAVIの世界的な普及にともない、BAVの有用性が再び見直されてきました。例えば左心機能低下など全身状態が悪くて治療が行き詰まってしまうようなケースでは、次の治療への橋渡しとしてBAVを先行し、状態の改善を得て次の治療に臨むなどの治療戦略が急激に増えております。この方法により、より安定した状態でTAVIや外科的手術が行えることが分かってきました。
また心臓以外の外科手術も、BAVを先行して、周術期の心血管リスクを少しでも下げてから手術に臨むこともあります。BAVにはそのアプローチ法が主に2通りあり、太ももの付根の大腿動脈からの逆行性アプローチと、大腿静脈からの順行性アプローチが用いられます。当院では患者の状況に合わせ、アプローチを使い分けて施術します。科的手術が行えることが分かってきました。また心臓以外の外科手術も、BAVを先行して、周術期の心血管リスクを少しでも下げてから手術に臨むこともあります。BAVにはそのアプローチ法が主に2通りあり、太ももの付根の大腿動脈からの逆行性アプローチと、大腿静脈からの順行性アプローチが用いられます。当院では患者の状況に合わせ、アプローチを使い分けて施術します。

当院の強み

当院では、従来の開胸術はもとより、TAVI、BAVなど、これら全ての手技の利点を最大限に活かし、個々の患者さまにやさしい調和のとれた最適な治療の検討と選択が可能となります。このように当院ハートチームは、心臓弁膜症における最先端の治療戦略とその全ての治療オプションを備え、国内外からの多くの知見と経験を合わせもつ精鋭エキスパート陣より構成される特殊なスペシャリストチームとなっております。
▶ハートチームについて詳しく見る

このチームによる精密な術前評価から実際の治療、術後のフォローまでは、全てが一貫しており、安心感にくわえバランスのとれた最適な医療のご提供に確実につながってまいります。一人でも多くの方々に、少しでもより良い医療を提供できるよう、当院のチーム一同が一丸となって取り組んでまいります。


Q&A

  1. 心臓弁膜症の治療の相談をしたい場合はどうしたらよいですか?
    心臓弁膜症に関するお問い合わせは、すべて当院の地域連携室(048-773-5941)までお電話にてご連絡ください。当連携室を通して、当院ハートチーム医師におつなぎする、あるいは外来をご紹介するシステムをとっております。
  2. 希望すればTAVIを受けることができますか?
    TAVIは、高齢で体力があまりない方や、その他の理由で外科的な開胸術が難しいとされる場合が対象となる治療法であるため、 ただ単に「胸を切られたくない」という理由ではTAVI治療を受けることができません。TAVI治療の適応性については当院のハートチームにて検討の上、判断いたします。
  3. TAVIの治療費はどれくらいですか?
    2013年10月より国内でのTAVI治療は保険適応となっております。さらに高額療養費制度※をご利用することで費用負担を少なくすることが可能です。
  4. 例)TAVI治療 入院8日間の場合(入院期間が月をまたがない場合)
    健康保険を使用される場合
    70歳未満の方
    約1,770,000円(3割負担)

    70歳以上の方
    44,400円(所得により異なる場合があります)

    高額療養費制度※を利用される場合(一般所得の場合)
    70歳未満の方
    約136,430円

    70歳以上の方
    44,400円

  5. TAVIを受けれないケースはどのような場合ですか?
    以下に示すよな方は現時点ではTAVIが受けられません。ただし状態によっては、バルーンカテーテルのみによる大動脈弁カテーテル治療(バルーン大動脈弁拡張術:BAV※)が有効かつ可能な場合があります。
    ・ 透析中の方
    ・ 重度の心不全の状態にある方
    ・ 高度な逆流弁膜症をともなう方
    ・ 大動脈弁がエコーにて単尖弁もしくはニ尖弁と確認されている方
    ・ 末期の悪性疾患がある方
    など

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