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しんぼうさいどうちりょう

脳の病気!?心房細動

心房細動はよく見受ける不整脈ですが、とても危険な不整脈です。それは心臓病というよりは脳梗塞などの致死的血栓塞栓症の原因として重要だからです。心房が細かく震えることにより左心房内の血流が淀み、左心房、特に"左心耳"という場所に血栓が作られ、脳などの重要な臓器に流れてしまいます。
脳梗塞全体の約20%が、心房細動を原因としています。他の原因の脳梗塞と比べ死亡率が高く重い障害を残します。命を失う危険ばかりでなく、重度の後遺症は長期の入院やリハビリ、高いレベルの介護が必要になります。
心房細動が見つかると、特に高齢の方、以前脳梗塞になったことがある方、糖尿病や高血圧症のある方などは、脳梗塞発症のリスクが高いため予防治療の必要性が高まります。心房細動を持つ高齢者に、適切な予防策を講じないと50%以上の方が脳梗塞を発症するといわれています。

心房細動治療
心房細動治療

抗凝固薬による心房細動性脳梗塞の予防

心房細動性脳梗塞の一般的な予防法は、抗凝固剤の服用です。
凝固は人間にとって必要不可欠な血液の機能で、様々な理由で出血しても、この機能のおかげで血液が固まり出血が止まります。抗凝固剤はその重要な機能を抑制する薬剤ですから、使用には危険が伴います。
代表的な抗凝固薬はワーファリンです。このお薬は服用量をプロトロンビン時間という血液検査値でコントロールする必要があります。適切な治療域に調節することが困難な方もいます。また、副作用などのために抗凝固治療が必要な心房細動の患者さんの14%~40%がワーファリン使用不適切症例であるという報告もあります。
プラザキサなどの新しい抗凝固薬は、ワーファリンにかわる安全な抗凝固剤として期待されていますが、一方でその効果の不十分さや副作用が次々と報告されています。また、抗凝固治療の継続による身体的・心理的な負担が大なり小なり患者さんのQOL(生活の質)を落とすという報告もあります。

"心房細動に対する新しい治療法=WOLF-OHTSUKA法"

"心房細動に対する心臓内視鏡外科手術:WOLF-OHTSUKA法" は、胸腔鏡を用いて次の2つのことを行います。

脳梗塞を起こす血栓の発生部位である左心耳を完全に切除する。

乱れた脈をアブレーションという方法で矯正する。

WOLF-OHTSUKA法には次の3つの効果が期待できます。

①脳梗塞予防効果

血栓を作りやすい構造の左心耳を切り取ることで、心原性脳梗塞を予防します。切り取った左心耳は2度と生えてきませんので、この効果は一生維持されます。

②抗凝固治療からの離脱効果

出血性病変(消化管出血など)などのため抗凝固治療が困難な方々はもちろん、抗凝固治療によって日常生活に支障が生じる方にとって、抗凝固薬を服用しなくてよくなることは大きな意味を持ちます。

③アブレーション効果

心臓の外部からの高周波アブレーションの治療成績は、カテーテル法による初回成績より良いと言われています。


WOLF-OHTSUKA法の特徴

安全性と低侵襲性

WOLF-OHTSUKA法 は、心房細動治療手術「メイズ手術」という心臓手術を原点としています。胸腔鏡を用いて、開胸せず、人工心肺も使わず、心臓の外側から「肺静脈隔離」ができる低侵襲手術です 開発者大塚先生の1000例ほどの経験では、手術合併症による死亡例は無く、80歳以上の高齢の方にも安全に手術が行われています。WOLF-OHTSUKA法の手術時間は、WOLF-OHTSUKA I (アブレーション+左心耳切除)の場合 約1時間半、WOLF-OHTSUKA II (左心耳切除のみ)の場合 30分程度で終了します。手術後の在院日数は3〜5日程度です。

心房細動治療


心房細動治療

アブレーションを受けたのに左心耳を切除する必要があるのか?

アブレーションはカテーテル的でも外科的でも、決して完治的治療ではなく、長期的にみると心房細動は再発します。(カテーテル・アブレーション1年後に87%の患者さんが正常な脈を維持できていても5年後には63%にまで減少します)。最新の抗凝固治療も、最高のアブレーション治療も心房細動性脳梗塞に十分対処できていない場合も少なくありません。WOLF-OHTSUKA法はこのジレンマを左心耳切除によって克服するもので、アブレーションがうまくいった患者さんにとっても左心耳切除は将来の危険を見据えた"保険"になります。
「左心耳の閉鎖は脳梗塞予防効果において抗凝固治療に勝る」と医学雑誌JAMAにも報告されています。

▶詳細はこちら
JAMA. 2015 Mar 10;313(10):1057
Left Atrial Appendage Closure for Atrial Fibrillation
Stöllberger C1, Schneider B

大塚先生はWOLF-OHTSUKA法による左心耳切除の"持続的な脳梗塞予防"効果を証明するため、「"脳梗塞や他の血栓塞栓症を発症したにも関わらずワーファリン服用が困難である"という条件で選んだ"アブレーション治療に抵抗性の慢性心房細動"の患者さんに対して内視鏡下に"左心耳切除のみ"行い、ワーファリンを直ちに中止しても持続的な脳梗塞予防効果が得られた。」 という内容の論文を医学雑誌 Journal of American College of Cardiology (JACC) で発表しています。

▶詳細はこちら
J Am Coll Cardiol. 2013 Jul 9;62(2):103-7
Thoracoscopic stand-alone left atrial appendectomy for thromboembolism prevention in nonvalvular atrial fibrillation.
Ohtsuka T1, Ninomiya M, Nonaka T, Hisagi M, Ota T, Mizutani T.


"WOLF-OHTSUKA法"はどのような患者さんにとって最も効果的か?

①心房細動や発作性心房性頻脈のために脳梗塞予防のための抗凝固治療を受けていて、アブレーション治療の適応もある方

WOLF-OHTSUKA I により同時に両方の治療(脈を正常化し抗凝固治療を不要にする)を行えます。

②脳梗塞予防のために抗凝固治療を受けているが、出血・貧血などの副作用や高齢・認知症・腎機能障害などの医学的理由(あるいは社会的・経済的理由)により、有効な治療を安定して継続するのが困難な方

WOLF-OHTSUKA II により抗凝固治療を離脱できます。

③心房細動のために「抗凝固治療をそろそろ始めましょう。」といわれた方

WOLF-OHTSUKA II により抗凝固治療が不要になります

注:心房細動以外に、全身あるいは心臓内の血栓形成性を高める病態がある場合は、左心耳切除のみでは不十分です。手術前にそのような病態、疾患がないかどうかスクリーニング検査を行い、手術の適応を決定しています。


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