ごあいさつ
当院は開院当初より、質の高い医療サービスの提供を目指して日々努力を重ねてまいりました。がんに対する医療は当院が特に力を入れている領域のひとつです。2007年に「がん対策基本法」が施行され、全国どこでも質の高いがん医療が提供できることを目指してがん診療拠点病院が指定されました。
埼玉県では都道府県がん診療拠点病院である県立がんセンター、小児がん拠点病院である県立小児医療センター以外に13病院が地域がん診療連携拠点病院に指定されています。当院は2021年4月より地域がん診療連携拠点病院の指定を受け、より一層手術・抗がん剤治療・放射線治療などの治療を組み合わせて行う集学的治療、がん医療に関するセカンドオピニオンの実施や緩和ケア専門チームを設置しきめ細かい緩和ケアの提供、緩和ケア病棟でのがんの苦痛に対する治療に力を入れ診療を行っております。また、ダビンチシステムの導入や腫瘍循環器にも力を入れ、最先端の医療を導入しております。
今後もさらなる機能の充実を図り、地域の皆さまに安心かつ質の高いがん医療を提供できるように邁進していく所存です。皆さまのご支援ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
上席副院長 上野聡一郎
当院のがん診療の強み
01.がんを見つける
がんの診療になによりも大切なことは、『早期発見』です。上尾中央総合病院では、各種検査機器を取り揃えて、健康診断や人間ドックにも力を入れており、病気の早期発見ができるように心がけているほか、患者さんや地域の皆様に向けた健康教室や医療講座を定期的に開催し、地位全体の健康に寄与できるよう心がけております。健康教室・医療講座の開催日程等については健康・医療・介護情報をご参考ください。
- 各種検査
- 当院ではめまぐるしい技術革新にも対応すべく、最新鋭医療機器を導入し、各種専門・認定の多数の有資格者により最先端の医療技術をより早く正確に提供いたします。放射線技術科では、医療被ばく低減施設認定を取得しており、専門的な知識と情報により、適切な医療被ばく線量で患者さんにやさしい安全な検査を行います。また、地域医療機関と密に連携をとり、他施設からの検査依頼にも正確かつ迅速な対応ができる体制を整えております。また、検査技術科では、2017年6月8日付で臨床検査室の国際規格ISO 15189の認定を取得いたしました。現在、臨床検査は、診断・治療に欠かせないものとなっており、当院の提供する臨床検査サービスを患者さんや臨床医が安心して利用できる体制を整えております。当院で実施している検査については各種検査をご参考ください。
- 健康診断
- 当院では、健康診断や人間ドックにも力を入れており、病気の早期発見ができるように心がけております。健康診断・人間ドックをご参考ください。
- 予防医学の推進
- 一部のがんについては、生活習慣や細菌・ウイルスの持続感染が発症の一因になっていることが分かっています。当院では、禁煙への取り組みをサポートする『禁煙外来』等を行っております。受診にあたっては、事前のご予約等が必要となりますので、診療の案内をご参照ください。
02.がんを診る
上尾中央総合病院では、手術・抗がん剤・放射線治療などの治療を組み合わせて行う集学的治療を実施しております。治療方針も各学会などの診療ガイドラインに沿った標準的治療(がんの種類およびがんの進行度ごとに示されている、現在利用できる最良の治療法)を実施しています。治療の前に、将来子どもを持ちたいか考えることも大切です。当院では、埼玉県がん・生殖医療ネットワークに加入し、対象となりうる患者さんやご家族には、治療開始前に情報提供をしています。そのうえで、希望がある場合は、妊よう性(妊娠する力)温存の専門病院へ紹介を行います。基礎疾患をお持ちのがん患者さんについても、診療科をまたいでカンファレンスをし、より適切な治療をご提案しております。希少がん、AYA世代のがん、小児がんは、病状や患者さん、ご家族の希望に応じて、専門病院への紹介を行います。また、患者さんに寄り添った診療が提供できるよう、定期的に『がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会』、『看護師やMSWのための研修会(ELNEC-J)』『薬剤師のための研修会(がん薬物療法認定薬剤師)』『医療従事者に向けたがん治療・緩和ケアの勉強会』を開催し、地域のがん診療の質向上にも努めております。がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会を受講済み医師の一覧は下記リンクからダウンロードできます。
- 手術
- がんの進行度と患者さんの全身状態を考慮して、がんの切除(手術)が最も適した治療であると判断したときには、手術をお勧めしています。当院では、より患者さんの体に負担がかからないように低侵襲手術に力を入れており、がんの種類や進行度によっては、より小さなきずでがんの切除が可能な内視鏡治療やロボット支援下の手術を積極的に取り入れております。それらの手術を行うにあたっては、患者さんの安全を第一に、充分トレーニングを積んだ医師が執刀しております。
- 化学療法(抗がん剤治療)
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当院では、通院しながら安全に安心して快適な環境で抗がん剤治療をして頂けるように専用の治療室(化学療法室)を開設し、外来での抗がん剤治療を推進しております。
以前は抗がん剤治療というと、脱毛や吐き気といった副作用と闘いながら長期間入院して行う、といったイメージでした。しかし、副作用に対する支持療法の発達や投与方法の改善、経口の抗がん剤の普及などにより、多くの治療が外来通院できる時代となりました。そうした取り組みは、患者さんのQOL(生活の質)の向上、医療経済への貢献、ひいては治療効果の改善につながっています。当院の化学療法の特色
- 人員配置
がん薬物療法専門医、がん化学療法認定看護師、がん薬物療法認定薬剤師等が在席しております。抗がん剤治療を毎日施行しているエキスパートです。
加えて、がん性疼痛認定看護師、管理栄養士、がん相談員、ソーシャルワーカー等が必要に応じて関ります。 - 化学療法室の設備
化学療法室にはリクライニングチェア・ベッドを24床設置し、リラックスできる環境で治療を受けていただけるよう配慮しております。また、薬剤師が注射薬の無菌調製を行っております。 - 化学療法室の体制
化学療法室は完全予約制で、前日までに指示内容のチェックを専門スタッフが行います。
当日は採血などの検査と、担当各科の診察を受けてから、実施可能かどうか判断します。
さらに化学療法室の医師・看護師・薬剤師の専属スタッフもチェックを行い、二重三重の安全対策を取っております。
また、点滴施行中は専属の看護師が目を配り、必要な場合は専属の医師が対応いたします。 - 緊急時の相談、受診、入院
抗がん剤治療に関する様々な相談を24時間体制で受付しております。
また、必要に応じて緊急時に受診及び入院可能な体制を整えております。 - 当院で実施する抗がん剤の治療方法(レジメン)の整備
有効かつ安全な抗がん剤治療を実施するために、当院では、抗がん剤の治療方法(レジメン)の有効性や安全性、必要性等を審議する委員会を毎月実施しています。その委員会で承認されたレジメンのみを行っております。
- 人員配置
- 放射線治療
- 放射線治療の対象は、根治的照射、術前・術後照射、予防照射から緩和的照射まで患者さんの様々な段階、状態で適応となります。放射線治療は「患者さんに優しい治療」であり、高齢者や手術困難な患者さんであっても積極的な治療を行うことが可能です。対象となる疾患が多岐にわたるため他の診療科と共同で治療にあたることが多く、院内外の先生と密接に連携を取りながら診療にあたっています。