がんの診療になによりも大切なことは、『早期発見』です。
上尾中央総合病院では、各種検査機器を取り揃えて、健康診断や人間ドックにも力を入れており、病気の早期発見ができるように心がけているほか、患者さんや地域の皆様に向けた健康教室や医療講座を定期的に開催し、地位全体の健康に寄与できるよう心がけております。
健康教室・医療講座の開催日程等についてはこちらをご参考ください。
- 各種検査
当院ではめまぐるしい技術革新にも対応すべく、最新鋭医療機器を導入し、各種専門・認定の多数の有資格者により最先端の医療技術をより早く正確に提供いたします。
放射線技術科では、医療被ばく低減施設認定を取得しており、専門的な知識と情報により、適切な医療被ばく線量で患者さんにやさしい安全な検査を行います。また、地域医療機関と密に連携をとり、他施設からの検査依頼にも正確かつ迅速な対応ができる体制を整えております。
また、検査技術科では、2017年6月8日付で臨床検査室の国際規格ISO 15189の認定を取得いたしました。現在、臨床検査は、診断・治療に欠かせないものとなっており、当院の提供する臨床検査サービスを患者さんや臨床医が安心して利用できる体制を整えております。
当院で実施している検査についてはこちらをご参考ください。
- 健康診断
当院では、健康診断や人間ドックにも力を入れており、病気の早期発見ができるように心がけております。詳しくはこちらをご参考ください。
- 予防医学の推進
一部のがんについては、生活習慣や細菌・ウィルスの持続感染が発症の一因になっていることが分かっています。当院では、禁煙への取り組みをサポートする『禁煙外来』等を行っております。受診にあたっては、事前のご予約等が必要となりますので、診療の案内をご参照ください。
上尾中央総合病院では、手術・抗がん剤・放射線治療などの治療を組み合わせて行う集学的治療を実施しております。治療方針も各学会などの診療ガイドラインに沿った標準的治療(がんの種類およびがんの進行度ごとに示されている、現在利用できる最良の治療法)を実施しています。
治療の前に、将来子どもを持ちたいか考えることも大切です。当院では、埼玉県がん・生殖医療ネットワークに加入し、対象となりうる患者さんやご家族には、治療開始前に情報提供をしています。そのうえで、希望がある場合は、妊よう性(妊娠する力)温存の専門病院へ紹介を行います。
基礎疾患をお持ちのがん患者さんについても、診療科をまたいでカンファレンスをし、より適切な治療をご提案しております。希少がん、AYA世代のがん、小児がんは、病状や患者さん、ご家族の希望に応じて、専門病院への紹介を行います。
また、患者さんに寄り添った診療が提供できるよう、定期的に『がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会』、『看護師やMSWのための研修会(ELNEC-J)』『薬剤師のための研修会(がん薬物療法認定薬剤師)』『医療従事者に向けたがん治療・緩和ケアの勉強会』を開催し、地域のがん診療の質向上にも努めております。
がん診療に携わる医師のための緩和ケア研修会を受講済み医師の一覧は下記リンクからダウンロードできます。
緩和ケア研修会修了者一覧(2023年5月1日時点)
- 手術
がんの進行度と患者さんの全身状態を考慮して、がんの切除(手術)が最も適した治療であると判断したときには、手術をお勧めしています。
当院では、より患者さんの体に負担がかからないように低侵襲手術に力を入れており、がんの種類や進行度によっては、より小さなきずでがんの切除が可能な内視鏡治療やロボット支援下の手術を積極的に取り入れております。それらの手術を行うにあたっては、患者さんの安全を第一に、充分トレーニングを積んだ医師が執刀しております。
- 化学療法(抗がん剤治療)
当院の化学療法は、基本的に小児がんを除く全てのがん種に対応しています。
各ガイドライン等で定められた標準治療に沿って安全的確に行うことを主な目的として、『抗がん剤単独での治療』および、『手術や放射線治療と組み合わせての抗がん剤治療』を実施しています。
近年は従来の抗がん剤とは異なったしくみで働く『分子標的薬(がん細胞の分子を標的とする薬剤)』や『免疫チェックポイント阻害剤(免疫を強化する薬剤)』が次々と開発・実用化されており、それに伴って、標準治療や副作用対策も刻々と変化しています。
当院ではがん治療専門の医師・看護師・薬剤師がチームとなって化学療法に取り組むことで、そうした変化に迅速に対応しております。当院には2022年6月現在、4名のがん薬物療法専門医、2名のがん化学療法認定看護師、5名のがん薬物療法認定薬剤師が在籍し、化学療法室の運営に携わっています。栄養士も化学療法室に常駐し、体重や食欲の減少した患者さんに栄養指導を行っています。
また、抗がん剤や分子標的薬の中には、心臓に障害を起こす危険性があるものもあります。当院では、総合病院の強みを生かして、日本ではまだ珍しい、がん患者さんのための心臓治療・カルディオオンコロジー(心臓腫瘍学)の専門外来も実施しております。がんゲノム医療に関しては、2020年度から腫瘍内科でゲノム外来を開設し、年間約20名の患者さんがエキスパートパネルによるゲノム診断を受けられています。
今後も高度・複雑化する抗がん治療の増加に迅速に対応できる様努めて参ります。
図:注射抗がん剤調製件数
図:外来化学療法室 栄養指導件数
- 放射線治療
放射線治療の対象は、根治的照射、術前・術後照射、予防照射から緩和的照射まで患者さんの様々な段階、状態で適応となります。放射線治療は「患者さんに優しい治療」であり、高齢者や手術困難な患者さんであっても積極的な治療を行うことが可能です。
対象となる疾患が多岐にわたるため他の診療科と共同で治療にあたることが多く、院内外の先生と密接に連携を取りながら診療にあたっています。
がんと診断された患者さんが直面する「からだの痛み」「こころの痛み」「暮らしていくための不安」などについて、医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士・MSW(医療ソーシャルワーカー)がチームとなって患者さんに寄り添った医療をご提供しております。
また、地域の他の医療機関とも連携をとっており、がん患者さんやご家族が少しでも安心して療養できるよう取り組んでおります。