文字サイズ
  • 縮小
  • 標準
  • 拡大

トピックス(ハイドロゲルスペーサー)

ハイドロゲルスペーサー・金マーカー留置術について

放射線治療は、転移のない前立腺癌に対する根治的な治療方法で、手術療法に匹敵する標準的な治療方法です。近年、放射線治療の効果を高めるために、処方される線量が増加しています。それに伴い、前立腺の周辺臓器である直腸や膀胱へも高い線量の放射線が照射されることになります。その結果、放射線治療による有害事象(副作用)として放射線性直腸炎(下血・直腸潰瘍など:頻度2~3%)や放射線性膀胱炎(出血性膀胱炎など:頻度2~5%)が起こります。

放射線治療による有害事象(副作用)を減らすために下記の2つの方法があります。

  • 金マーカー留置術
  • ハイドロゲルスペーサー(Space OAR®)留置術

いずれも、医療保険が適応されます。

  • ハイドロゲルスペーサー・金マーカー留置

  • ハイドロゲルスペーサー留置:前(左)・後(右)

①【金マーカー留置術について】

直腸ガスおよび呼吸の影響などによりに前立腺は照射のたびに10㎜以上も動きます。そこで高線量の放射線が直腸などに照射されないように、毎回の放射線治療による照射の前には必ず前立腺の位置を確認します。その確認の際に有用な目印となるのが金マーカー(材質24金)で、前立腺に留置します。これにより、照射の直前や照射中に得られる患者さんの前立腺位置情報を正確に把握できるようになり、より腫瘍に集中した照射野(放射線を照射する範囲)で治療でき、隣接臓器である直腸や膀胱への放射線の副作用を抑えることが期待されます。

参考文献:欧州泌尿器科学会ガイドライン2020年版

②【ハイドロゲルスペーサー留置術について】

前立腺に隣接する直腸に高線量の放射線が照射されることで直腸障害が発生しやすくなります。この有害事象の頻度を減らすために、もともとある1㎜程の前立腺と直腸とのすき間にハイドロゲルスペーサーを留置し、そのすき間の距離(スペース)を10㎜程度(5㎜以上が望ましいとされています)に広げることで直腸に照射される高線量の放射線を73.5%減少させます。それにより、軽症の直腸障害は75%、中等症の直腸障害は100%低下すると報告されています。

なお挿入されるハイドロゲルは注入後、約3か月間スペースを維持し、その後約6か月かけて体内に吸収されます。

注)ハイドロゲルスペーサーの主成分はポリエチレングリコール(無毒)であり、化粧品の乳化剤・便秘症の治療薬・医薬品や化粧品の材料にも用いられます。ハイドロゲルスペーサーは安全性が高く、脳、脊髄、眼の手術にも用いられています。

手術室で全身麻酔もしくは腰椎麻酔(麻酔方法は麻酔科医が診察の上判断致します)で行います。砕石位(足を広げる体位)になり、肛門に超音波の機械を入れます。超音波で確認しながら、会陰部から専用の針を刺し、2個の金マーカーを留置後にさらにハイドロゲルスペーサーを留置します。最後に尿道カテーテルを挿入して終了です。処置時間は麻酔も含めて30分程度です。

【副作用について】

金マーカー留置術に伴う副作用は血尿・血精液症、ハイドロゲルスペーサー留置術に伴う副作用は、便意の切迫感、直腸出血(下血)、下痢、感染、アレルギーなどが報告されていますが、ごく軽度なものを含めて発生頻度は10%以下とされています。
この手技に関する詳細・ご質問は、いつでも担当医にお尋ねください。 当科の医師は、Boston Scientific社からSpaceOAR®の施行医認定を受けています。

予約受付窓口

紹介状をお持ちの方:地域連携課・病診連携係 TEL:048-773-5941
紹介状を開封せずにお手元にご用意ください。
紹介状をお持ちでない方:外来予約センター TEL:048-773-1197

受付時間

月曜日~金曜日 8:30~17:30
  土曜日   8:30~13:00
  • 日曜・祝祭日は受付いたしかねます。
  • 当日のご予約はお受けいたしかねます。
  • 時間帯によって、電話回線が混み合ってつながりにくい場合があります。ご迷惑をおかけいたしますが、悪しからずご了承ください。
  • 当院は地域医療支援病院です。かかりつけの医院からの紹介状が必要となります。紹介状をお持ちでない方はこちらをご確認ください。

このページの先頭に戻る