ロボット支援僧帽弁形成術
僧帽弁閉鎖不全症とは
心臓は4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)にわかれて、休むことなく血液を全身に送り続けています。心臓の中での血液の流れは一方通行で、それぞれの部屋の出口には逆流を防止する扉(弁)があります。この弁に何らかの障害が起き、役割がはたせなくなった状態を「弁膜症」といいます。血液を全身に送り出す左心室とその前に血液をためておく左心房の間の逆流防止弁のことを僧帽弁といいます。この僧帽弁が完全に閉じなくなる(閉鎖不全といいます)と、左心室から体に送りだす血液の一部が左心房へ逆流してしまい、全身へ送り出す血液量が減り、左心房が不要に拡張します 。
この状態を僧帽弁閉鎖不全症(mitral regurgitation; MR)と言います。
心臓超音波検査などにより弁膜症の状況を観察し、内科的治療が難しい場合は手術が行われます。
ロボット手術では僧帽弁形成術を行います。

ロボット支援僧帽弁形成術
当院ではもともと、MICS(小切開心臓手術)と呼ばれる、肋骨と肋骨の間を7cm前後の切開で行う、きずの小さな心臓手術を行ってきました。MICSのメリットは、従来の胸骨正中切開(胸の中心を切開する手術)に比べて、患者さんの体への負担が少ないことです。
内視鏡手術支援ロボット・ダビンチ・システムを用いた手術は、MICSに比べ、より繊細で正確な病変部の吻合・縫合ができること、より小さな傷口で治療を行えること(低侵襲な手術を行えること)で、痛みが少なく、感染リスクが小さいこと、傷あとも小さいことが特徴といえます。
また、それにより、回復期間や入院期間が短いことと美容面への影響が少ないことが期待されます。
当院では、2018年4月から、内視鏡手術支援ロボット・ダビンチを用いた弁形成術が保険適用になりました。保険適応にあたっては、「十分な経験を積んだ執刀医がいること」「緊急時に迅速な対応が可能な体制であること」が求められ、該当する病院はまだ多くありません。2018年7月時点で当院を含めた3病院が対象となっています。(厚生労働省公開資料「コード内容別医療機関一覧表(指定一覧)」より)
今まで、ダビンチ・システムでの手術は、患者さんのからだへのメリットが大きいものの、自費診療であるがゆえにお勧めしにくい側面もありました。しかし、保険収載されたことによって、患者さんの費用面での負担が減り、患者さんそれぞれの病状に合わせた選択肢が増えたと言えます。
なお、当院では、僧帽弁閉鎖不全症・三尖弁閉鎖不全症を併せて8名の患者さんが、2018年7月末までに、ダビンチでの心臓手術を受けられています。
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