当院は2019年1月1日付で、埼玉県から災害拠点病院として指定されました。
【災害拠点病院】とは、大規模災害(地震や洪水、大規模火災・事故など、多くの負傷者が発生した災害)発生時に、主に重症者と中等症者(ただちに処置しないと、命にかかわる状態の方や、特殊な治療を必要とする方)の収容・治療を行うことを目的として、都道府県知事が指定する医療機関です。
限られた数の医療従事者や医薬品で、1人でも多くの傷病者の治療にあたるため、医療機関等の機能に応じて、役割分担をおこなう仕組みです。
災害拠点病院は主に『重篤救急患者の救命をおこなうための高度診療』『患者等の広域搬送(受入および搬出)』『日本DMAT(自己完結型の医療支援チーム)の派遣』『地域の医療機関などへの応急用器資材の貸し出し』などを行います。
大規模災害発生時でも、患者さんの重症度に応じた適切な医療を提供するため、上尾中央総合病院は、近隣の医療機関や救護所と連携して救命に尽力いたします。
日本DMATとは
DMAT(Disaster Medical Assistance Team=災害派遣医療チーム)とは、大規模な災害や事故などが起こった場合、被災都道府県からの要請を受けて被災地の医療機関に迅速に駆けつけ医療支援を行うための専門的な訓練を受けた自己完結型の医療支援チームで、すべての災害拠点病院に配置されています。
大規模災害時に派遣される日本DMATは、被災地の限りある資源を使うことが無いよう、緊急車両に応急用の医療資機材や発電機、隊員用の飲料水・食料・生活用品などを搭載して被災地に向かいます。
当院周辺が被災した場合、一人でも多くの患者さんを救うために、当院は日本DMATの派遣ではなく、患者さんの受け入れに力を注ぐ可能性があります。
災害時の重症とはどのような状態を指すのか
災害時には下記のような大怪我をする方が増えることが想定されています。災害拠点病院には、このような症状に対応することが求められています。
- 多発外傷(からだを頭部・頚部・胸部・腹部・骨盤・四肢などにわけた時、2か所以上に大きな怪我をした状態。倒壊した家屋や車体の下敷きになった、家屋から転落した、など)
- 挫滅症候群(重量物に長時間圧迫されることで、筋肉の損傷や血液がいかなくなることによる障害と、圧迫が解除されたときに血液中の電解質濃度が急激に変化することによるショック状態を起こした状態。クラッシュシンドロームとも。倒壊した家屋や車体の下敷きになった、など)
- 広範囲熱傷(その人の体の全表面積(熱傷体表面積)の15~20%以上におよぶ熱傷(熱傷の深さによって変わります)をした状態。火災に巻き込まれた、など)