ごあいさつ
薬が世に出るためには、大変な道のりが必要です。まず植物や微生物などから発見された物質の中から、様々な実験を経て人に使用しても安全で病気の 治療に使用できると予想されたものが「薬の候補」となります。その後、試験管の中での実験や動物実験によって安全性・有効性が確認されます。しかし、こう したふるいにかけられて残った「薬の候補」も「薬」になるためには、最終段階で人による試験を必ず行わなければなりません。この、人による試験を『治験』 (臨床試験)といい、健常者や患者さんのご協力によって実施されています。治験の成績に基づいて、国が必要と認めたものが初めて「薬」として承認されます。
人によって薬の安全性・有効性を確かめる治験は、ご協力いただく参加者の皆さまの人権を最優先に考えなければ なりません。 当科における治験は「薬事法」と「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」という実施のための欧米諸国でも認められた国際ルールを遵守して 行なっています。
薬剤部 副部長 新井 亘
特色
「治験コーディネーターがお手伝い」
治験コーディネーター(CRC)は、治験に参加される皆さま(被験者)と医師(治験責任医師又は治験分担医師)、製薬メーカー(治験 依頼者)との橋渡しをします。被験者の皆さまには、治験実施中の体調の確認やスケジュール、薬の説明のほかご質問・不安などのご相談にお答えしています。被 験者の皆さまの立場を十分配慮した対応を心がけていますので遠慮なくお話しください。
「多様な診療科での治験例」
内科においては「2型糖尿病」「慢性腎不全」「本態性高血圧症」、循環器内科では「急性冠症候群」、消化器内科では「逆流性食道炎」などの治験例があります。今後、他の診療科でも治験に取り組んでいく予定です。
「科全員が薬剤師」
当科の院内の治験コーディネーターは5名で、全員薬剤師の資格を有していますので治験薬について、より的確にご説明することができ ます。また、治験の内容・実施状況に応じて、外部のCRCに協力してもらうこともあります。こうした態勢で、より公平な立場で治験を行うことが可能となり ます。院内のCRC、外部のCRCともに被験者の皆さまの安全を第一に考えて業務に当たっています。